第三十三幕 椿三十郎

かつて日本映画はこんなにも面白かった  映画「椿三十郎」

 世界のクロサワのリメイク作品です。脚本はオリジナルほとんどそのままです。

 オリジナルをすでに見てる身には、正直辛い部分もあります。

 が、脚本がオリジナルを使ってくれたおかげで、物語の面白さは折り紙付きです。

 金もなく、お堂を寝ぐらと決めた椿三十郎が、奥に潜んでいると、聞くとはなしに聞いてしまった九人の若侍たちの密議での話が事の発端です。

 このファーストシーンにも脚本の素晴らしさは、出ています。

 若侍達の藩の汚職について語る彼らなりの分析と人物評価を、私たち観客も三十郎同様一通り聞きいったところで、やにわに、三十郎が唐突に奥から姿を現し、若侍たちに反論する、三十郎の説得力ある分析力と判断力の正しさを存分に見せつけるのです。

 若侍達は、彼らが意を決して城代家老に注進した汚職の暴露を、城代家老からは軽くいなされ、風貌の冴えない城代家老はやはり頼りにならないと判定します。

 逆に、大目付には、そんな城代家老の有様を説明したら、自分たちの意見を熱心に聞き入れたから、やはり大目付は頼りになる人物だとします。

 三十郎は城代家老や大目付の言葉を丹念に吟味して、若侍達とは逆の判定をくだします。

 若侍達の判断が正しいか、三十郎の判断が正しいことか。

 結果は、彼らのいるお堂が、大目付の手の者に幾重にも取り囲まれてしまったことですぐに明らかになるのです。

 図式的には、この物語、藩の乗っ取りまでも謀略する狡猾な老人達とそれを阻止しようと正義感溢れる若者達との世代対決となっています。

 しかし、陰謀を阻止しようと意気込む割には、若者達は幼稚で、分析力も判断力もなく、悪人達への対抗策も稚拙です。

 大目付の次から次へと繰り出す策略によって、若侍達は、逆に藩への反逆者とされてしまいます。

 藩のほとんどを敵にまわしてしまうこととなった若侍達に勝機はほとんどありません。

 そんな中、事態を打開するのは、若侍達から化け物だと評される椿三十郎です。

 三十郎の桁外れの強さと、分析力・判断力の確かさと、策を練る知恵と、敵地に一人乗り込んで行く勇気があったればこそ、不可能が可能へと変わります。

 一人歩きも出来ない、ああだこうだ口を尖らせて反論するだけでなんら事態を打開できない。むしろ、ことごとく事態を打開しようとする三十郎と対立し、三十郎の邪魔をし、三十郎を窮地に陥れる若侍達です。

 そんな若侍達に、老人達の巨悪と戦うには、化け物椿三十郎のごとく強くあれと願った先人黒澤監督達の暖かい眼差しも感じられるリメイク版「椿三十郎」。

 かつて日本映画はこんなにも面白かった。



投稿者: 今井 政幸


「椿三十郎」公式サイト



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2 Comments

ぐっちゃん

タイトル

『幕椿三十郎』って誰だよ(-"-;)

  • 2007/12/18 (Tue) 23:18
Anthony

スペースの位置が間違えてました。すみませ~ん。

  • 2007/12/20 (Thu) 01:12