第三十一幕 マイティ・ハート ―愛と絆―

現実の重み   映画「マイティ・ハート ―愛と絆―」

 2002年1月、パキスタンのカラチで、新聞記者が誘拐された実際の事件を題材にした映画です。

 誘拐された新聞記者の身重の妻をアンジェリーナ・ジョリーが演じています。

 映画は、実際の有様をドキュメンタリー的に淡々と綴っていきます。
ここには、「Mr.&Ms.スミス」のようなスーパマン的ヒロインのアンジェリーナ・ジョリーの登場はありません。

 描かれているのは、ウォール・ストリート・ジャーナルの特派員ダニエルの妻であり、フランスのラジオ局の記者でもあるマリアンヌです。

 ダニエルはパキスタンを離れるにあたって、アルカイダとかかわりのある靴爆弾男リチャード・リードを調べようと、インタビューが可能となったジラニ師に逢うため指定されたレストランに向かいます。

 以後、ダニエルは消息を絶ちます。

 夫ダニエルの帰宅がなく、不審と不安を抱いたマリアンヌは、警察に捜索を依頼します。

 映画はマリアンヌが遭遇した、誘拐事件当事者としての苦痛、苦悩、思いのたけを、実際の事件のありのままをなぞるようにして描写していきます。

 事件解明のためにと提供を求められたダニエルの写真が当局から流失し、ダニエルをイスラエル秘密諜報機関モサドのスパイ扱いする新聞記事に発表、流用されてしまうそら恐ろしい出来事などを。

 映画はマリアンヌ自身の原作をベースに作られているため、当時、現地パキスタン側からどのようにこの事件が受け止められていたかは作品からうかがい知ることは出来ません、が、パキスタン警察が、威信をかけて、誘拐犯逮捕にやっきとなっていた姿は描かれています。

 しかし、マリアンヌを支えたのは、マリアンヌのもとに集結したパキスタンのテロ対策組織のリーダー、ウォール・ストリート・ジャーナルの夫の同僚たち、女性記者アスラ、アメリカ領事館の外交保安担当官、さらにはFBI捜査員で、彼らは、ホワイトボードに関係人物名とその相関図、関係人物の行方を逐一書き込んで情報収集にあたります。

 そんななか、彼女のもとに届いたのは、手に手錠がはめられたダニエルの写真でした。ダニエルはCIAのスパイともくされていました。

 マリアンヌは、テレビに出演し、カメラを通して、犯人側に、夫の容疑が虚偽であること、夫を愛してること、事件の解決を訴えるのでした。

 複雑な政治情勢、テロの脅しに屈しない当局の堅い決意が、現実の重みとなってマリアンヌに押しかかります。

 事実を追ったノンフィクションをアンジェリーナ・ジョリーを通して見られることがこの映画の見どころです。

 「グッド・シェパード」での抑制の効いたアンジェリーナ・ジョリーと「Mr.&Ms.スミス」でのおきゃんなアンジェリーナ・ジョリー。

 その中間程に位置する、リアルで深刻で真摯な、それでいて愛くるしいアンジェリーナ・ジョリーの姿は、ファン必見。

 現実の重苦しい内容を、アンジェリーナ・ジョリーは上手く我々を誘ってくれています。

 平和ぼけと言われてる日本人には無視できない一作です。



投稿者: 今井 政幸


「マイティ・ハート ―愛と絆―」公式サイト








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