取り立ての苦労話

*画像は 「掘っ立て小屋」 のイメージであり、本文とは直接関係ありません。
俺の仕事は、貸金の回収。 サラ金の取り立てってやつだ。 人に嫌われる凄く嫌な仕事だ。
そんな俺の苦労話の一つでも、聞いて欲しい。
「〇中〇男という男に貸した100万円の回収に行ってくれ。貸してから半年間、利息含めて一度も返済がない!」
「えっ? ・・・ わかりました。」
もしかして、逃げたかもしれない、、、
その場所を地図で調べて行くと確かに 「〇中〇男」 と書かれた表札の家があったが、そこを見ておどろいた。
凄く古く今にも潰れそうな掘っ立て小屋だった。
玄関の扉? というか板を押し倒して中に入ると、婆さんが一人座っていた。
「〇中〇男さんの家か?」
「息子はどこに行ったか知らん。ワシも困っておる。」
くそ、逃げたか!
「お母さん、他に子供は?」
「娘が一人おるが、AVだか、なんだかの仕事をしておる。」
AV女優か ・・・
「あんたの息子に、うちが金を貸してから返済が無いんで取り立てに来た。仕方ないが家の中の物をもらっていくぞ」
「好きにせい。」
しかし、家の中は汚く、何もない。 あるのは、他の金融機関からの督促状の山だけだ。
部屋の片隅に冷蔵庫があったので中を開けると、、、 腐ったバナナが1本入っているだけ。
それを見て、涙が出た。
「これで、好きな物でも買え。」
俺は財布から1万円札を取り出し、ばあさんに渡した。
取り立てを諦めて帰ろうとした瞬間、何故か、バランスを崩し部屋の壁に手を付くと、付き破ってしまった。
が、、、 隣の部屋を見ておどろいた ・・・
投稿者: Tanoken 構成: Anthony




*画像は 「応接セット」 のイメージであり、本文とは直接関係ありません。
部屋の中には豪華な応接セットに電化製品、大きな金庫まであった。
他にも部屋が何室もある。 家の裏に出ると、大きな茶畑が一面に拡がっていた!
「ハハハハ バレたか? バレたのは、あんたが初めてじゃ。これを見たら、みんな督促は諦める。 この部屋は馬鹿息子の仕置き部屋じゃ。 じゃけんど、嫌がって外国に行ったきり帰ってこん。 娘はAV機器関連の仕事。 旦那は、株の投資家でワシよりも儲けておる。」
奥の部屋に大きな金庫があった。 婆さんが開けると、札束がぎっしり詰まっていた。
金庫から100万円の札束を取り出し、俺に向けて放り投げてきた。
「ほれっ! ワシが息子の代りに返済しちゃる。」
「クソ! 俺をだましたな、さっき渡した1万円を返してくれ!」
「それは、あんたが勝手に勘違いしてワシにくれたんじゃろ? 取り返したいなら、弁護士デモなんでも呼んでくれ」
「・・・・」
俺は、会社に戻って上司に報告した。
「〇中〇男からの回収は出来ましたが、その母親からの回収は、、、 かなり、難しいです。。。」
[編集長-ひとこと]
僕も金融機関に勤務をしていた時に回収に関わる仕事をしましたが、電話や書面での督促にとどまり、裁判所に法務部の人達と同行するくらいでした。
Tanokenさんのように現地に出向いての回収はしたことがありませんが、金目のものを持っていこうとするのは、嫌がらせで 「それを持っていかれるのが嫌だったら、金を返してくれ」 っていうアピールでしょう。
貸金の回収で物納っていうのは、裁判所の指示以外ではありえません。
かくいう僕も失業して金に困っていた時に、市民税が払えず、放置していたら、、、 市に固定電話の債権を差し押さえられて、競売に掛けられた経験があります。
その時の価格が、たった千円。
千円くらいなら支払うから、電話を返してくれ== って叫んでも、電話が不通に。(笑)
携帯電話を持っていたので、あまり、困らなかったんですが、、、(苦笑)
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