第168回 芥川賞受賞作 『荒地の家族』 佐藤厚志 著

Photo by Kirishima 撮影場所: 宮城県 仙台市 青葉区 某所 『荒地の家族』(新潮社 刊)
2011年3月11日 金曜日、22.000人を超える死者・行方不明者を出した東日本大震災から12年となる。
犠牲になった方々のご冥福をお祈りするとともに、震災の教訓を未来に語り継いでいきたいと思っています。
「あの災厄から十年余り、男はその地を彷徨いつづけた。
元の生活に戻りたいと人が言う時の 元 とはいつの時点か――。40歳の植木職人・坂井祐治は、災厄の二年後に妻を病気で喪い、仕事道具もさらわれ苦しい日々を過ごす。地元の友人も、くすぶった境遇には変わりない。誰もが何かを失い、元の生活には決して戻らない。仙台在住の現役書店員作家が描く被災地に生きる人々の止むことのない渇きと痛み。」
第168回 芥川賞受賞作 『荒地の家族』 佐藤厚志 著 (新潮社 刊)
わたくしは、滅多に本は買わないのですが、早く読みたかったのでこの本は買いました。
かみさんに頼んで図書館に申し込んでもらったら、なんと120人待ちだったのです。
いやー、驚きました。 凄い人気です!
ネタバレになるので、内容やストーリーには触れませんが、感想を少々 ・・・
投稿者: 霧島



この物語の舞台は宮城県南部の亘理町。
物語は、重く陰鬱な雰囲気を漂わせながら展開して行く。
重いテーマながら流れるような文体で読みやすく読後感が非常に良かった。
仙台市で災厄 (東日本大震災) を経験した わたくしとしては、この作品が芥川賞を受賞して本当に良かったと思いました。
あれから12年、この物語の主人公のように 「元には戻れない失われた時間 」 を懸命に生きる人たちを何人も見てきました。
彼らは皆な暗く鬱蒼とした気持ちを抱えていましたが、希望だけは失っていないようでした。
東北の被災地には、この物語を読んで救われる人が多くいるだろうと思われます。
主人公たちの会話では、方言 (仙台弁) を巧みに使い物語に深みを与えていましたし、家族間の温かさや微妙な心理的距離間感などが細かく表現されていてとても心地良かったです。
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