籬が島 (宮城県 塩竈市)

先日、所用で塩竈市に行ったついでに、歌枕の地 「籬が島」(まきがしま) を見てきました。


 昔、船から見たことはありましたが、このようにまともに見たのは初めてでした。


 やっと念願がかないましたね。(笑)

 奥州一之宮 鹽竈(しおがま)神社 を擁する塩竈市は、平安時代、藻塩を焼く辺境の製塩地として歌枕に親しまれてきた地でした。

 江戸時代以降は、城下町仙台への荷物の陸揚げ港として繁栄しました。





籬が嶋_1
Photo by Kirishima


「籬が島」 (籬神社) 周囲150メートルの塩竈湾 (千賀の浦) に浮かぶ小さな島で、島には 「おくのほそ道」 の碑や社が建っている。


 今は、保全のための規制で立ち入り禁止* になっています。
 

*編集部・註 - 島内の 曲木(まがき)神社への参拝は名勝保護のために8月1日の例祭と毎月1日のみとなっています。普段は、島に渡る橋の手前で施錠管理されています。

 

芭蕉が 『おくのほそ道』 で 「五月雨 (さみだれ) の空いささかはれて夕月夜かすかに、籬が嶋もほど近し」 と書いた塩竈湾の歌枕の地。

  芭蕉の時代は、広い塩竈湾にポツンと浮かんでいたそうですが、現在は、湾の埋め立てによって陸地から間近に見られるようになりました。







投稿者: 霧島

にほんブログ村 その他趣味ブログ 多趣味へ FC2ブログランキング  
学問・文化・芸術 その他へ ← クリック投票に協力を! 編集部・執筆陣のやる気がUPします!





籬が嶋_2


籬が島 (まがきがしま) の説明板


 仙台から多賀城の歌枕の地を巡って来た芭蕉と曽良は、1689年6月24日(旧暦 5月26日) に塩竈に到着。ちょうど梅雨のころでした。


『塩がまの浦に入相 (いりあい) のかねを聞く。五月雨 (さみだれ) の空いささかはれて、夕月夜かすかに、籬が嶋もほど近し。あまの小舟こぎつれて、肴わかつ声々に、 「綱手かなしも」 とよみけむ心もしられて、いとど哀 (あわ) れなり。 

 その夜、目盲 (めくら) 法師の琵琶をならして奥 じょうるりといふものをかたる。平家にもあらず、舞にもあらず。ひなびたる調子うち上げて、枕ちかうかしましけれど、さすがに辺土の遺風忘れざるものから、殊勝 (しゅしょう) に覚えらる』  ( 松尾芭蕉 『おくのほそ道』 より)



「現代語訳」

『塩竈の浦に行くと夕暮れ時を告げる入相の鐘 (夕暮に寺でつく鐘) が聞こえるので耳を傾ける。五月雨の空も少しは晴れてきて、夕月がかすかに見えており、籬が島も湾内のほど近いところに見える。漁師の小舟が沖からこぞって戻ってきて、魚を分ける声がする。それを聞いていると古人が 「つなでかなしも」 と詠んだ哀切の情も胸に迫り、しみじみ感慨深い。 

 その夜、目の不自由な法師が琵琶を鳴らして、奥浄瑠璃 (おくじょうるり) というものを語った。平家琵琶とも幸若舞 (こうわかまい) とも違う。本土から遠く離れたひなびた感じだ。それを高い調子で語るから、枕近く感じられてちょっとうるさかったが、さすがに奥州の伝統を守り伝えるものだから興味深く感心して聴き入った』   ( 松尾芭蕉 『おくのほそ道』 より)





籬が嶋_3


島の反対側から撮影、  現在の 「籬が島」 は、曲木漁港内にポツンと浮かんでいます。


「我が背子を みやこにやりて 塩釜の まがきの島の 松ぞ恋しき」 ( 『古今和歌集・東歌』 詠み人知らず より)


 ちなみに 「背子」 とは、夫など愛しい人という意味です。





籬が嶋_4


塩竈湾を望む  


 この翌日、鹽竈神社を詣でた芭蕉と曽良は、 マリンゲート塩釜 の観光桟橋がある辺りから船に乗り、松島に向かいました。

関連記事

コメント 6

There are no comments yet.
☘雑草Z☘
2022/06/13 (Mon) 20:57

五大堂と似てますね!

共に、松島の一つに、神社仏閣があって橋が渡してあって、似てますね!?
籬が島の曲木神社は神社で、五大堂は、お寺でしょうか??
五大堂は小学校の修学旅行とか、数回行った記憶があります。
籬が島は、「あっ」五大堂が入れなくなった・・・と言う記憶があったような・・・。
いつから入れなくなったんでしょうか?

Noriちゃんねる
2022/06/13 (Mon) 21:02

こんばんは

塩釜の方まで遠征してみようかな
魚釣れそう!

霧島
2022/06/14 (Tue) 10:05

>雑草Zさん

おっしゃる通り、確かに松島の五大堂とにてますね。
伊達政宗が建てた「五大堂」は、国宝瑞巌寺の御堂ですので
お寺ですね。周りは自由に見学できますが、仏像の御開帳は
なんと、33年に一回だそうです。やれやれ!
五大堂は松島のシンボルです。

「おくのほそ道」の最大のミッションは、松島と平泉に行くことでした。
それなのになぜ芭蕉は、松島で句を詠まなかったのか不思議です。
永遠の謎です。

霧島
2022/06/14 (Tue) 10:08

>Noriちゃんねるさん

こんにちは。

確か、Noriちゃんねるさんは海釣りをしてますよね。
わたくしも40代の頃、防波堤海釣りにハマっていたので、
この場所の対岸の漁港にはよく釣りに行きました。
投げ釣りでは、イシガレイやアイナメ、シャコなどが釣れます。
今の時期ですと、イワシが回遊して来ますので、サビキ釣りで
大量のイワシが釣れます。でも後が大変ですが!(笑)
是非遠征してみてください。

utokyo318
2022/06/15 (Wed) 06:59

先日日帰りで仙台だけはいきましたが、海辺もいいですね🎵
1泊していれば、松島にも行けたかなと思いますが、船酔いするタイプなので、少し心配です(^_^;)

霧島
2022/06/15 (Wed) 18:23

>utokyo318さん

そうでしたか、仙台の観光バス「るーぷる仙台」で市内を巡った
のでしようかね。良かったです。
松島湾は、水深も浅く波はほとんどないので遊覧船に乗っても
船酔いの心配は全くないので大丈夫です。
是非 今度来た時に乗ってみて下さい。

Menu:12 霧島の シン・日本紀行