命日

 ただいま午前一時過ぎ。四年前のこの日この時間に母が逝った。

 父から連絡が入ったのは夜も明けてからだった。

 それまで父は母と二人、病院を出、自宅に立ち寄ってから葬儀所に向かったのだ。

 連日危篤が続き疲れた俺達を帰らせた直後だった。

 『忙しいなるさかい休んでから来たらエエ』父はそう言って電話を切った。

 あの時、父は二人になりたかったのだ。

 夫婦二人でいたかったのだ。

 永く癌を患い入退院を繰り返す父を追い越して逝ってしまった母。

 本来自分が横たわる筈だったろう寝台に眠る母と看取る父。

 明日からは通夜葬儀と忙しくそして塵と消えてしまう母と二人で過ごせるのは今この時だけだと思ったに違いない。

 離婚してしまった俺には分かる筈もないが、あの日父はそれまでの数十年の母との思い出を思い起こしていたのだろう。


 俺はここまで人に愛されたまま死ねるだろうか。



投稿者: ぐっちゃん



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