桜餅

桜餅 と おはぎ

 もうすぐ母の命日が来る。

 昔は月に一度お寺さん(うちはお坊さんと呼ばずにお寺さんと言う)が来た。多分祖父の命日だったのだろう。

 その日には決まってお供えとお寺さんに出すお茶菓子は桜餅と田舎饅頭だった。田舎饅頭が薯豫饅頭になる時があろうと桜餅は必ずあった。

 母が亡くなってからお寺さんの来た時に俺は聞いてみた。

 『先生(お寺さんは元教師でもある)は桜餅好きですなあ』

 『?違うで。お母さんが好きで買うてはったんやで』

 なんてこった、自分が食べたいために十年一日毎度毎度桜餅を買っていたのだった。なんともお茶目な母上だった。

 以来俺は思い出せばなるべく桜餅を買う。好き放題な事をした挙げ句に親の法事も出せない放蕩息子のせめての罪滅ぼしにと俺は桜餅を買う。

 今日も近所の丹波屋で桜餅を買って仏壇に供えた。隣で父が『ワシの野菜カステラは?』と睨んでいるように見えた。

 安心しな、明後日は両方買って行くから。



投稿者: ぐっちゃん   



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