宮沢賢治 『発電所』 と 三居沢水力発電所(仙台市 青葉区)
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その詩には、現在の岩手県花巻市と遠野市の境にあった 「岩根橋水力発電所」 を見学した時の印象がつづられています。
賢治は、自然エネルギーを使った発電に強い関心を示していて、農村に電力によるエネルギーを導入しようと考えていました。
理想郷イーハトーブを支える発電施設として、潮汐 (ちょうせき) 発電や想像もできませんが、銀河宇宙を利用した空想的な発電プランも考えていました。
賢治の時代、すでに石炭火力発電所はありましたが、賢治は石炭火力発電所にはほとんど興味を示さなかったようです。
アバンギャルドな科学者 宮沢賢治は素晴らしいですね!

Photo by Kirishima
仙台市青葉区の 「三居沢(さんきょざわ)水力発電所」
賢治が見学した 「岩根橋発電所」 は現存しませんが、これと同じ発電所が仙台市青葉区にあるのです。
投稿者: 霧島

ここは日本の水力発電発祥の地としても知られていて、
明治41年に建てられた建物は国指定の有形文化財として登録され、さらに発電所とその所有物は近代産業遺産として認定されいます。
今は東北電力が管理していて、なんと現在も現役バリバリで発電しているのです。 すごいですね!
『発電所』 宮沢賢治
鈍った雪をあちこち載せる
鉄やギャブロの峯の脚
二十日の月の錫のあかりを
わづかに赤い落水管と
ガラスづくりの発電室と
……また余水吐の青じろい滝……
くろい蝸牛水車(スネールタービン)で
早くも春の雷気を鳴らし
鞘翅発電機(ダイナモコレオプテラ)をもって
愴たる夜中のねむけをふるはせ
むら気な十の電圧計や
もっと多情な電流計で
鉛直フズリナ配電盤に
交通地図の模型をつくり
大トランスの六つから
三万ボルトのけいれんを
塔の初号に連結すれば
幾列の清冽な電燈は
青じろい風や川をわたり
まっ黒な工場の夜の屋根から
赤い傘、火花の雲を噴きあげる

賢治の大正14年の詩 『発電所』 に登場するカタツムリのような形の 「蝸牛水車 (スネール・タービン) 」 が、 これです。
なんと、当時賢治が見学したものと全く同じものが、ここ三居沢発電所にあります。
また、宮沢賢治の名作 『グスコーブドリの伝記』 には 「潮汐 (ちょうせき) 発電所」 が登場します。
クーボー大博士は器械をすっかり調べて、それから老技師といろいろ話しました。そしてしまいに言いました。「もうどうしても、来年は汐発電所を全部作ってしまわなければならない。それができれば今度のような場合にもその日のうちに仕事ができるし、ブドリ君が言っている沼ばたけの肥料も降らせられるんだ。」
それから四年の間に、クーボー大博士の計画どおり、潮汐発電所は、イーハトーヴの海岸に沿って、二百も配置されました。イーハトーヴをめぐる火山には、観測小屋といっしょに、白く塗られた鉄の櫓やぐらが順々に建ちました。
→ 『グスコーブドリの伝記』 (青空文庫 図書カード:No.1924)
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