プロが作ったきれいなトマト

家庭菜園で作ったミニトマトは家では食べ切れないくらいあったので、毎年夏場は職場に持っていって配っていました。
何年か前のある夏の日、事務方の女の子が、
「いつもミニトマトを頂いているから、今日は逆に差し上げます。祖父が農家で、専門でミニトマトを作っているんです。」 と言って、綺麗な飾り小箱に入れたミニトマトをくれました。
プロが作ったという自慢のミニトマトを是非食べて見たいと楽しみにしていました。
そして、家に帰る前に待ちきれずに箱を開けました。形もよく、パンパンに張ってまん丸で、色も綺麗な赤でした。
流石 「プロ」 の作ったミニトマトです。
いつもド素人の私が作ったミニトマトをあげていたことを恥ずかしく思いました。
どうやって作っているのか御指南いただきたい・・・
投稿者: 雑草Z



早速、一粒口に頬張ると ・・・ ん ? ・・・ 何か味がしない ・・・ 味が薄過ぎて水っぽい ・・・
まあ、たまたま味の薄いのを口に入れたんだろうと、その一つを食べ終えてもう一つ口に入れると ・・・ やっぱり味が薄い ・・・
次の一つもその次も ・・・ 私の舌は繊細に味を比べる事は出来ないのだけれど、このトマトは明らかに美味しくないのです。
頭の中にはある物質の名が浮かんできました。
「窒素」。
窒素肥料をどんどん与えると作物は急成長し、見かけも立派で大きくなるけれど、味も薄いし栄養も少ない ・・・
何度か書物等で読んだ記憶がありました。 言わば、作物のドーピングです。
家族に食べさせるには忍びないほどなので、その場で味のない水っぽいトマトを我慢して全部食べてしまいました。
ただの水を飲んだ方がマシかと思いました。
日当たりが悪くて光合成をちゃんとしてないのに窒素肥料で急速に膨らませたのでしょうか?
連作で、畑の土の中の味を美味しくする成分 ・・・ つまり、カリウムやリンをはじめとする微量元素のミネラル(金属元素)が不足していたのでしょうか?
よくもまあ、こんな水のように味のないトマトを作って出荷しているものです。
農家としての誇りはないのでしょうか?
他の素人の家庭菜園で作ったミニトマトを頂いて比べて食べた時は、私の作ったミニトマトよりおいしい時もありました。
その時は作り方なども参考にお聞きしておりましたが、今回頂いた 「プロ農家」 の作ったミニトマトは、明らかに私の栽培している有機無農薬ミニトマトよりも不味くて、比べ物になりませんでした。
他の専業農家の作ったミニトマトについては何とも言えませんが、味を売りにした高級な、拘り栽培ミニトマトでなくとも、美味しい農家のトマトも沢山売っている筈だ ・・・ と思いたいものです。
このトマトの生産者は、若い事務方さんの祖父と言う事ですから、半世紀くらいは農業をやっている事でしょう。
昔は、窒素肥料を使わないで、自前の有機肥料で栽培していた時期もあったはずです。
長年窒素ばかり使って味の違いが分から無くなってしまったのでしょうか? ・・・
私も自前のミニトマトばかり食べているので、売ってるミニトマトの味は忘れていました。
そう言えば、最近ホテルなどのバイキングでとって食べたミニトマトも味が薄かったけど、こんなに酷かったかな?
「質より量」 を優先しているのでしょうか? 栄養豊かな美味しいトマトを出荷している農家さんもいる一方、こんな見掛け倒しの不味いトマトを出荷している農家もいるのです。
このトマトを下さった事務の女の子には、頂いた時には嬉しくて何度も御礼しましたが、翌日「美味しかった」とは言えず、知らんぷりしてコメントは控えました。・・・
流石に「不味かった」とは言いませんでしたよ ・・・。
昔の有機肥料 ・・・ 刈り草や下肥(人や家畜の糞尿を発酵させたもの)の作物の方が美味しかった ・・・
と言う話も聞いてはいましたが、それを実感した出来事でした。
現代のプロの農家の農作物の方が不味いって事が全然珍しい事ではない事を改めて痛感した出来事でした。

Photo by Zassou Z 撮影場所: 福島県 会津 某所 「形も色も悪いけど、そこそこ美味い雑草の家庭菜園で育ったミニトマト」
余談ですが、今年食べたミニトマトで一番美味しかったのは、母が入っている介護施設で介護士さんたちがプランター栽培しているミニトマトです。
カリスマ農家の作った高級トマトのように美味しいと評判です。
実は私が種を採って蒔いて育てた苗を植えたものです。
しかし、私が同じ苗で育てたミニトマトよりも数段甘く美味しいのです。 私の育て方の方が手抜きで下手なんです。
・・・ つまり、人間のようにトマトも遺伝子よりもその後の育て方が大切だと言う事を改めて痛感いたしました。orz
[編集長-ひとりごと]
トマト、大好きです。
今の 「桃太郎」 という、子どもが生で食べられるように甘味を増した品種よりも、昔の青臭い感じのするヤツが好きです。(笑)
母がトマト好きだったので、和食が中心だった僕の実家でも、よく食卓に並びました。
母と折り合いが悪くて家の近所に別居していた明治生まれの祖母が 「赤茄子なんて食べられない」 と、トマトを毛嫌い(母のことも毛嫌い?)していたことも何となく憶えています。
で、ミニトマトですが、スーパーで並んでいるヤツで 「みずみずしくて美味しそう」 って感じで、見かけで買ってしまって、、、
実際に口にしたら、不味かったっていうこと、つーか、騙されたことが何度もあるので、見かけ重視では買わないようにしています。
八百屋の店頭で無造作に一盛り100円くらいで売られているような、半分、くたびれているようなのが美味しかったりするから不思議です。
ウチの彼女(キョンキョン)の実家の近くの農家さんは兼業農家さんですが、夏場によく、そこからミニトマトをいただきますが、酸味と甘味が凝縮して美味しいです。
彼女の会社の同僚の女性からいただくミニトマトも絶品です。 同僚さんの実家の庭で、お父様が趣味で作られているものですが、僕の夏の楽しみでもあります。(笑)
なんだか、ブロ農家が市場向けに作られているものよりも、趣味や家族の為に作っているもののほうが美味しいってのは不思議ですが、当然かもです。
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