岩手山奇譚 (部隊の亡霊か? 彼の国の部隊か?)
2003年か、2004年の8月のはじめ頃、10人くらいのパーティでマイクロバスをチャーターして夜に会津を出発して、夜中1時過ぎに岩手山焼き走り登山口に到着しました。
マイクロバスをチャーターしたのは、自家用車で行けば3台くらい必要で、更に登り口(岩手山)と降り口(八幡平)が違うので移動に手間がかかり面倒だからです。
夜中に行ったのは、登り始めを非常に早い時間帯にして、暑くなる前に登ってしまおうと考えた事と、バスの中で1泊分眠れば、前泊分の費用が浮くと考えたからです。
山に登ってから山小屋に泊まれば、宿泊代は無人小屋なら無料、有人小屋でも2000円程度です。何度かの岩手山登山を経て編み出した方法です。
私は 「名案」 だと思っていたのですが、他の連中にとっては 「迷案」 で、ヘッドランプに虫は集まるわ、蚊に刺されまくるわ、朝露に濡れるわで結構無茶な計画と非難され散々でした。
それでも、真夜中から登り始める無茶な計画を夏の岩手山で2回ほど行いました。
前置きが長くなりました。以下に書く事はこの時岩手山登山で起こった実話です 。フィクションではありません。
我々を下ろしたマイクロバスが帰って行き、ヘッドランプを点けて登山の準備をして、焼き走り登山口を早朝2時前に登り始めました。
程なく壮大な焼き走り溶岩流の岩場に差し掛かりました。真っ暗な中にヘッドランプに照らされた部分だけ見える溶岩流の跡は、凄いと感じる一方、非常に不気味でもありました。
投稿者: 雑草Z



その焼き走り溶岩流を通り越して更なる坂を登り始めて暫くすると、上の方から人の気配の音が聞こえて来ました。複数の足音のようです。
そして真っ暗だった登山道の上の方が、明るくなって来ました。ライトを点けて上から大勢が降りて来るようです。
こんな夜中に登山するのは我々だけかと思っていましたが、私のような無茶な計画(・・・ 繰り返しますが、私は 「名案」 だと思ってました)を立てる物好きもいるんでしょうか?
・・・ でも、この時間帯に降りてくるって、いつ登ったのでしょう? 夜の8時頃から登り始めたのでしょうか?
・・・ 山小屋を出発して降りて来たにしても早過ぎます。
だんだん足音は大きくなり、あちら様のライトが眩しくなり始めました。
向こうの人々は無言で声は聞こえませんでしたが、数人のパーティではなく、何十人もいるようです。
はじめは、宗教団体かと思いました。
その頃、山とかでテントを張って集団生活をしているちょっといかがわしい宗教団体の事がニュースになっていました。(覚えてますか?) きっと、その団体だろうかと思いましたが、パーティのメンバーは他の可能性も考えました。
・・・ なんかの亡霊の集団か? 八甲田山で遭難した部隊の幽霊か?
・・・ パーティの連中がそわそわし始めました。 降りて来る人々の姿のシルエットがはっきりすると、なんと兵士の格好をして武装しているでは無いですか!
ヤバい! 北朝鮮の部隊が日本を調査、若しくは占領するために密かに潜入して来たのか?
・・・先頭を歩いていた私が足を止めると、後ろを歩いていた連中は 「戦国自衛隊じゃ無いか?」 なんて、半分ふざけて言ってましたが、結構怖がってます。
上から降りて来る部隊の連中は、かなりの早足で降りて来て、山に慣れている様子でした。もう隠れるわけにも引き返して逃げるわけにも行きません。
我々のパーティには女性もいましたし、簡単に掴まってしまうでしょう。拉致されてしまうのでしょうか?
我々は平静を装い登山道の端に留まっていました。
彼らが近づいて来て、姿がはっきり認識出来るようになると、やっぱり、迷彩服を着た兵士たちでした。
我々のパーティの女子たちは涙目になっていました。「捕まる」 「拉致される~」 「殺される~」 我々のパーティの誰もがそう思った瞬間、何と降りてくる武装兵士達は、我々と目も合わさずに(我々が合わせなかったのかも知れません・・・)
我々が登山道の端に立ち止まっている脇を無言で次々に通り過ぎて行きます。それも何十人どころではなく後から後から次々と ~ 何百人と ~ 通り過ぎて行きます。
やっぱり、八甲田雪中行軍の亡霊か? 北朝鮮の秘密部隊か?
こちらで恐る恐る 「今晩は!」 と声を掛けてみると、向こうも無表情で返してくれました。どうやら自衛隊のようです。
みんなホッとして彼らが通り過ぎるのを待っていましたが、一つの隊列が行き過ぎるとまた次の隊列がやって来て、余りに多人数でなかなか部隊は尽きません。
隊列と隊列の合間を縫って、こちらもまた登り始めました。何人とすれ違ったかは見当もつきませんが、数十人から数百人の部隊がいくつもいくつも通り過ぎたので、合計千人以上はいたのでは無いかと思います。
部隊の最後の方とすれ違う頃には、空が白んできました。 すれ違うのに小一時間ほどかかったのかも知れません。
自衛隊ってこんな真夜中にこんな大人数で訓練をするもんなのかあ。
あとから調べると、近くの旧滝沢村には自衛隊の駐屯地があるようです。滝沢の駐屯地だけではなく、東北地方から、若しくは全国から精鋭が(何の?)集まって訓練をやってたのかも知れません。
しかし夜中に大人数で高い山越え移動って、何を想定した訓練なのでしょう? やっぱり八甲田山雪中行軍の亡霊か?
一方、自衛隊の方々も、誰も登って来ないと思ったこんな夜中に登って来る私達を妙だなと思った事でしょう。
犯罪者かオウム真理教の信者が逃亡して来て隠れるために夜中に登って来たと思ったかも知れません。後から警察に通報されたかも・・・(笑)
以上、実際の体験談でしたが、我々のリアクションは多少大袈裟に書かせて頂きました(笑)
[編集長-ひとりごと]
夜中に山中で千人以上の武装集団??
そんなのを目撃したら、僕だったら、絶対にちびってしまうだろう。。。
それと、この 「その頃、山とかでテントを張って集団生活をしているちょっといかがわしい宗教団体の事がニュースになっていました。(覚えてますか?) 」
団体ですが、、、電磁波除けの白装束で有名だった パナウェーブ研究所 ではないでしょうか?
その団体をネタにしたキャバクラの広告看板を取り上げた記事
→ 「キャバウェーブ研究所」 (Anthony's CAFE 2011/07/09) で、恐怖のどん底に落ちてしまった精神状態を立て直して下さい!
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