雪だるま (ショート・ストーリー)
久方ぶりにまとまった雪が降った。雪を心待ちにしていた弟は大はしゃぎである。
とはいっても、たった二十センチなのだが。
この地方の感覚では一メートル積もってやっと平年並みだ。
「さてと」
弟が妙にウキウキした表情でそう言った。
「どこ行くの?」
「庭で雪だるまでも作るわ」
弟が照れくさそうに答える。自分でも子供っぽいと認識しているみたいだ。
投稿者:クロノイチ
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とはいっても、たった二十センチなのだが。
この地方の感覚では一メートル積もってやっと平年並みだ。
「さてと」
弟が妙にウキウキした表情でそう言った。
「どこ行くの?」
「庭で雪だるまでも作るわ」
弟が照れくさそうに答える。自分でも子供っぽいと認識しているみたいだ。
投稿者:クロノイチ



「外はあんたのダジャレみたいにサムいから、風邪ひかないようにね」
「あいよ」
しばらくして庭に出てみると、ちゃんと大きな雪だるまができていた。まさかいい年して本当に作るとは。
雪だるまの横には、スコップで雪の山を作っている弟がいた。防寒着を重ね着して、着膨れになっている。これぞまさしく 「着だるま」。
「そんなに雪をかき集めて何やってるのよ」
あたしが尋ねると弟は!無邪気な笑顏を浮かべて言った。
「かまくらを作るんだ」
「あんた、これっぽっちの雪じゃかまくらなんて無理じゃない?」
「庭じゅうの雪を集めたら作れるんじゃないかな」
「そう? じゃ、せいぜい頑張って。もし出来たら呼んでね」
「うっす」
約二時間後。弟があたしを呼ぶので、庭に出てみる。
いざかまくら。 なんちゃって。
おお、なんかかまくらっぽいものが出来てる。でも、全体的にかなり黒っぽい。雪をかき集める時に、地面の土も大量に混ざったのだろう。
あれ、庭の端っこに、まだ白い雪が結構残ってるじゃない。ここまで運んでくるのが面倒だったってことか。結構な労力使ってるんだから、もうひと手間掛けて、完璧に仕上げれば良かったのに。 ホント なまくら ね。
かまくらの内側を覗いてみる。やはり黒っぽくて汚らしい。これじゃあ、中に入ってミカンを食べようって気にはなれないな。
普通、かまくらの中って、雪が白く光って明るいもんじゃない?
なのにこれは、中真っ暗(なかまっくら)。
「あいよ」
しばらくして庭に出てみると、ちゃんと大きな雪だるまができていた。まさかいい年して本当に作るとは。
雪だるまの横には、スコップで雪の山を作っている弟がいた。防寒着を重ね着して、着膨れになっている。これぞまさしく 「着だるま」。
「そんなに雪をかき集めて何やってるのよ」
あたしが尋ねると弟は!無邪気な笑顏を浮かべて言った。
「かまくらを作るんだ」
「あんた、これっぽっちの雪じゃかまくらなんて無理じゃない?」
「庭じゅうの雪を集めたら作れるんじゃないかな」
「そう? じゃ、せいぜい頑張って。もし出来たら呼んでね」
「うっす」
約二時間後。弟があたしを呼ぶので、庭に出てみる。
いざかまくら。 なんちゃって。
おお、なんかかまくらっぽいものが出来てる。でも、全体的にかなり黒っぽい。雪をかき集める時に、地面の土も大量に混ざったのだろう。
あれ、庭の端っこに、まだ白い雪が結構残ってるじゃない。ここまで運んでくるのが面倒だったってことか。結構な労力使ってるんだから、もうひと手間掛けて、完璧に仕上げれば良かったのに。 ホント なまくら ね。
かまくらの内側を覗いてみる。やはり黒っぽくて汚らしい。これじゃあ、中に入ってミカンを食べようって気にはなれないな。
普通、かまくらの中って、雪が白く光って明るいもんじゃない?
なのにこれは、中真っ暗(なかまっくら)。
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