方向音痴 (ショート・ストーリー)
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弟はかなりの方向音痴である。
何の変哲もない建売住宅の我が家の中でさえ、押し入れの戸と和室の襖を間違えて開けることが度々ある。
記憶力はそれなりにある奴なので、方向音痴としか言いようがない。
それを弟に指摘すると、矛先をそらしたいのか、妙なところに突っかかってきた。
投稿者:クロノイチ
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何の変哲もない建売住宅の我が家の中でさえ、押し入れの戸と和室の襖を間違えて開けることが度々ある。
記憶力はそれなりにある奴なので、方向音痴としか言いようがない。
それを弟に指摘すると、矛先をそらしたいのか、妙なところに突っかかってきた。
投稿者:クロノイチ
「なんで 『音』 痴なんだよ。『方向痴』 でいいじゃねえか。『運動音痴』 だってそうだ。『運動痴』 でいいだろ。そしたら字数も短いから 『運痴』 なんて略されなくても済むかもしれんだろ。『ウンチ』 なんてかわいそうじゃないか。どうして音痴ばっかり特別扱いして、なんでもかんでも 『音痴』 をくっつけようとする?」
「勉強できない人に 『勉強音痴』 なんて言わないわよ」
「それは 『痴』 という漢字自体にバカって意味があるから、そこに敢えて余計な要素を加える必要がないってだけだ。ホントにもう。人の気も知らずに」
弟がここまでむきになる理由をあたしは知っている。
それは、弟が正真正銘の「音痴」そのものだからである。
「勉強できない人に 『勉強音痴』 なんて言わないわよ」
「それは 『痴』 という漢字自体にバカって意味があるから、そこに敢えて余計な要素を加える必要がないってだけだ。ホントにもう。人の気も知らずに」
弟がここまでむきになる理由をあたしは知っている。
それは、弟が正真正銘の「音痴」そのものだからである。
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