方向音痴 (ショート・ストーリー)

弟はかなりの方向音痴である。


 何の変哲もない建売住宅の我が家の中でさえ、押し入れの戸と和室の襖を間違えて開けることが度々ある。

 
 記憶力はそれなりにある奴なので、方向音痴としか言いようがない。

 それを弟に指摘すると、矛先をそらしたいのか、妙なところに突っかかってきた。












投稿者:クロノイチ

「なんで 『音』 痴なんだよ。『方向痴』 でいいじゃねえか。『運動音痴』 だってそうだ。『運動痴』 でいいだろ。そしたら字数も短いから 『運痴』 なんて略されなくても済むかもしれんだろ。『ウンチ』 なんてかわいそうじゃないか。どうして音痴ばっかり特別扱いして、なんでもかんでも 『音痴』 をくっつけようとする?」

「勉強できない人に 『勉強音痴』 なんて言わないわよ」


「それは 『痴』 という漢字自体にバカって意味があるから、そこに敢えて余計な要素を加える必要がないってだけだ。ホントにもう。人の気も知らずに」

 
 弟がここまでむきになる理由をあたしは知っている。

 それは、弟が正真正銘の「音痴」そのものだからである。

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2 Comments

☆バーソ☆

弟さんがあれこれ言うようなことを愚音痴と言います。
あ、いや、そうじゃない、愚痴という言葉がありました。
しかし、そういうことをいろいろ思いつく人を頓痴、
おっと、字が違いました。頓智と言います。

  • 2019/09/21 (Sat) 07:20
  • EDIT
クロノイチ

音痴

なかなか返信が難しいですね。音痴が、いえオチが思い付かなくて。

  • 2019/09/22 (Sun) 17:14