二階からメガスリー その1 (ショート・ストーリー)

弟は最近妙な特撮ヒーロー番組に凝っている。

 
 ありきたりの子ども向け集団ヒーローだと思う。でも、弟に言わせると 「センスがいい」 らしい。


 あたしは別に何の興味もなかったのだが、なんだかんだで口車に乗せられて、一緒に録画を見ることになってしまった。

 これが信者の布教活動か。恐るべし。


 タイトルは「二階からメガスリー」。












投稿者:クロノイチ


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 確かに斬新なタイトルだ。

いや、「メガスリー」 だけなら普通によくあるパターンのネーミングに過ぎない。

ただ、なぜそれを「二階から目薬」に引っ掛けなければならなかったのか、そこに大きな疑問が残る。

 で、出てきた三人組がこれ。


「メガポイント!」

 ああ、「目が点になる」って言葉に掛かってるわけね。


「メガトライアングル!」

 「目が三角」ってこと。


「メガスイミング!」

 「目が泳いでる」ってことかな。

 
 ストーリーはありきたりね。そろそろ終盤か。

「見ろよ、姉ちゃん。あれが超次元戦闘空母 『メガホエール』 だっ!」

 黒雲を裂き、稲妻とともに突然現れたそれは、つぶらな瞳が愛くるしい、巨大なメカクジラだった。目の輪郭がご丁寧にクジラの形をしている。

「『目くじら』 の 『くじら』 って、海のクジラのことじゃないと思うけど……」

「気にすンなって。面白けりゃいいんだ」

「ガオーッ」

「あ、クジラが大声を出した」

「吠えてるんだよ」

 ホエールだからか。この番組やっぱ変だわ。

「あいつが雄叫びを上げる時、スタンダップフォーメーションが発動するんだ。──見ろ、立つぜ、メガホエール、スタンドアップ!」

「ああ、クジラが立ち上がってロボットに変形した! 目くじらを立てやがった!


 あたしも思わず感激してしまったが、これが一瞬の気の迷いであることは言うまでもない。

 チラと弟の顔を見ると、バッチリ目が合ってしまった。


「……メガミーティング……」

 
 思わずあたしはそう呟いた。

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