舞台・羅生門 (ショート・ストーリー)
※時代考証は全くしていません。
新劇 「舞台・羅生門」 は初日から閑古鳥が啼く惨憺たる有り様だった。
最終日、舞台を見に来ていた原作者に新聞記者がインタビューを試みる。
「芥川龍之介さんですね。取材させていただいていいですか?」
「いいですよ。まあ、舞台はこんな体たらくですが、僕は原作を提供しただけですからね。責任は一切私にはありません。ですから遠慮せず何なりと訊いてください」
投稿者:クロノイチ
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新劇 「舞台・羅生門」 は初日から閑古鳥が啼く惨憺たる有り様だった。
最終日、舞台を見に来ていた原作者に新聞記者がインタビューを試みる。
「芥川龍之介さんですね。取材させていただいていいですか?」
「いいですよ。まあ、舞台はこんな体たらくですが、僕は原作を提供しただけですからね。責任は一切私にはありません。ですから遠慮せず何なりと訊いてください」
投稿者:クロノイチ



「ということは、原作に問題は全くなかったと」
「当然です。原作はいいんですよ。間違いなく芥川賞が取れます。ただ、出来上がった舞台の完成度が異様に低かった。それだけです」
「具体的に何が問題でしたか? 脚本ですか? 演出ですか? 俳優ですか?」
「俳優だね」
芥川は右の拳を握り締めて力説した。
「アクターが悪ぅ のすけ !」
「……」
数日後、大文豪の訃報が流れた。
「当然です。原作はいいんですよ。間違いなく芥川賞が取れます。ただ、出来上がった舞台の完成度が異様に低かった。それだけです」
「具体的に何が問題でしたか? 脚本ですか? 演出ですか? 俳優ですか?」
「俳優だね」
芥川は右の拳を握り締めて力説した。
「アクターが悪ぅ のすけ !」
「……」
数日後、大文豪の訃報が流れた。
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