小説の神様 (ショート・ストーリー)
唐突な質問だった。
「よう、姉ちゃん。 『マンガの神様』 って誰か知ってる?」
「手塚治虫でしょ。有名でしょ。知らないの?」
「アチャー。 『オサム』 っていうんだ。 『オサムシ』 かと思ってた」
「馬鹿ねえ。で、いきなり何でそんなこと聞いてきたの?」
あたしがツッコミを入れると、弟は慌てた様子でこう言った。
投稿者:クロノイチ
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「よう、姉ちゃん。 『マンガの神様』 って誰か知ってる?」
「手塚治虫でしょ。有名でしょ。知らないの?」
「アチャー。 『オサム』 っていうんだ。 『オサムシ』 かと思ってた」
「馬鹿ねえ。で、いきなり何でそんなこと聞いてきたの?」
あたしがツッコミを入れると、弟は慌てた様子でこう言った。
投稿者:クロノイチ



「あ、いや、今のは単なる前フリで、それをちょっとドジったってだけ」
「ふうん。──で、本題は?」
「『小説の神様』って誰だと思う?」
なかなかの難問だった。志賀直哉という話もあるが、「小僧の神様」という著作に引っ掛けてそう呼ばれるようになったとも聞く。あたしか思うに、小説の神様といえばこの人、と万人と認めるような作家はいないんじゃないかな。──とはいえ、お手上げというのも癪なので、一応、こう答えておく。
「志賀直哉……かな」
「俺は森鷗外だと思う」
あれ、クイズじゃなかったのかな。ただあたしの意見を聞きたかっただけ?
「どうしてそう思うの?」
「だって、神様だろ」
弟はニヤリと笑ってこう叫んだ。
「オー、ガイ、ゴッド!」
ああ、これが言いたかっただけか。
「ふうん。──で、本題は?」
「『小説の神様』って誰だと思う?」
なかなかの難問だった。志賀直哉という話もあるが、「小僧の神様」という著作に引っ掛けてそう呼ばれるようになったとも聞く。あたしか思うに、小説の神様といえばこの人、と万人と認めるような作家はいないんじゃないかな。──とはいえ、お手上げというのも癪なので、一応、こう答えておく。
「志賀直哉……かな」
「俺は森鷗外だと思う」
あれ、クイズじゃなかったのかな。ただあたしの意見を聞きたかっただけ?
「どうしてそう思うの?」
「だって、神様だろ」
弟はニヤリと笑ってこう叫んだ。
「オー、ガイ、ゴッド!」
ああ、これが言いたかっただけか。
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