第二十九幕 バイオハザードⅢ
アンブレラ社が、地中深くのハイブで研究中のT-ウィルスが漏出したことから、感染された人間は次々にアンデッドと化し人々を襲い始めた、おなじみ「バイオハザード」シリーズの三作目です。
冒頭、一作目を思い起こさせるシーンから始まって、仕掛けによってあえなく倒れたアリスは、クローン人間でした。
前作2作目でのラクーンシティでのT-ウィルス蔓延阻止作戦は失敗に終わり、T-ウィルスは全世界にまで広まってしまい、アメリカの大半は砂漠と化していた。これが、今回3作目のバイオハザードの舞台です。
世界各地の地中で生き延びているアンブレラ社は、アイザック博士に、アンデッド解決策を一任し、アイザック博士は、T-ウィルスに汚染されながらもワクチン投与によってアンデッド化しないアリスのDNAを使って、解決策を見出そうとしていましたが、冒頭シーンで描かれるように、成功には程遠い有様でした。
解決策を委ねられ、その責任問題も持ち上がって、もはや、一刻も猶予も許されないアイザックス博士は、逃亡したアリスを追い探します。
T-ウィルスに汚染されながらも、いや、汚染されたがために、投与されたワクチンとT-ウィルスとの結合によって、アリスの体は、前作2作目でも示されたように、人間兵器とでも呼べるような特異な体質に変化していました。
今回、その変化は、サイコキネシスを自在に操るまでに進化しました。
アリスの変化の進化が描かれる一方で、ワクチン投与の成功例のアリスの存在は、新たな人類誕生の予見を担っていて、これが、今回のバイオハザードの魅力です。
荒れた砂漠の不毛な土地に一人生き延び続けているアリスは、人類にとって、最後の救世主の隠喩です。
この救世主は、決して、純血ではなく、T-ウィルスとの混合、混血児です。
人の肉体をむさぼる忌まわしきアンデッドを、「悪」とみたてるなら、アリスもまた悪の要素を持ち合わせています。
アンデッドから、地上に残された人々が生き残る手立ては、決して一箇所にはとどまらず、各地を転々と移動、流転することでした。
それでもなお、当初からの人数は次第に減ってく有り様でした。
アリスが遭遇する、クレアやカリロスに率いられる一団も、各地を移動することで、どうにかアンデッドから身を守っていました。
アリスが偶然遭遇したことから、彼らを危機的な状況から救ったとはいえ、ウィルスの混合によってもたらされたアリスの卓越した異様な能力は彼らにとって、アンデッド同様恐怖的な存在であることに変わりありません。
物語は、一団が、窮余の解決策として見出した、ウィルスに汚染されてないとする地・アラスカを目指そうとしたことから急転しますが、同時にそれはアリスに、ワクチンの大量投与によって自らの体を変化させたアイザック博士との一騎打ちを促すことになります。
大 胆な隠喩解釈をわざと導入するなら、今回のバイオハザードは、人類から悪的と見なされるアンデッドと、みずからも悪的要素を体内に持つアリスが、一方では、未来の来るべき人間と思い込むほどに大量ワクチン投与によって変態化したアイザック博士と対決することで、アンデッド同様、人を襲い殺すことでみずからの命を永らえようとするアイザック博士の極悪的要素と、みずからの血液から人類を救うワクチンを開発しようとするアリスの善的要素との決闘・決着の映画となっています。
ラストに示される、アリスに託された、血清生成後の新たな人類像が将来を予見さす「バイオハザードⅢ」は、いい!
投稿者: 今井 政幸
→ 「バイオハザードⅢ」公式サイト
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