全自動ゴミ処理機 ((ショート・ストーリー)
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中学時代の殴り書き 清書
ふと、中学時代にノートに書いた話を思い出したので、書き起こしてみます。
今を去ること数十年前。世の中にリサイクルとか環境保護とかの理念があまりなく、大量生産・大量消費の弊害による公害やゴミ処理に関する問題が深刻な時期に、この話を作りました。
西暦20XX年。世界はゴミであふれ返っていた。
海にはヘドロ。空にはスモッグ。河川は企業排水や生活排水で汚染され、田畑には重金属が染み渡り、人の住むところは見渡す限りゴミの山となっていた。
投稿者:クロノイチ
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ふと、中学時代にノートに書いた話を思い出したので、書き起こしてみます。
今を去ること数十年前。世の中にリサイクルとか環境保護とかの理念があまりなく、大量生産・大量消費の弊害による公害やゴミ処理に関する問題が深刻な時期に、この話を作りました。
西暦20XX年。世界はゴミであふれ返っていた。
海にはヘドロ。空にはスモッグ。河川は企業排水や生活排水で汚染され、田畑には重金属が染み渡り、人の住むところは見渡す限りゴミの山となっていた。
投稿者:クロノイチ
だが、ある日、一人の天才科学者が画期的な装置を開発した。
「全自動ゴミ処理機」
名前は平凡だが機能は凄まじい。世の中のゴミを一瞬で選別し、異次元の空間に転送することができるのだ。
しかも、量的な制限はない。際限なく瞬時にゴミは転送される。
かくして世界からゴミ問題は消滅した。
ある家庭。
ここではいつものように夫婦喧嘩が勃発していた。
「だいたい、お前はなんで俺の嫌いなシイタケを毎日毎日食卓に出すんだ!」
夫が妻に箸を投げつけた。
「あいた。やったわね。あんたの健康のために出してんのに、あんまりよ」
妻が夫に湯飲みをぶつけた。
「やりやがったな。 ──嘘つけ。ただの嫌がらせじゃないか。このブス!」
血だらけの夫が急須を投げ返した。急須はかわされたが、お茶が大量に妻に降りかかる。
「アチッ! なんてことするのよ! 殺す気? そっちがその気なからこっちにも考えがあるわよ!」
やけどを負った妻が、頑丈なダイニングチェアを頭上に高々と振りかざした。
「やる気か! じゃあ、俺もやってやる。くたばりやがれ!」
激昂した夫が、火事場の馬鹿力でダイニングテーブルを持ち上げる。
「あんたなんか……」
「お前なんか……」
両者がそれぞれの得物を相手に向かって同時に投げつけた。
──こう叫びながら。
「人間のクズよっ!」
「人間のクズだっ!」
その瞬間、二人の姿はこの世から消え失せた。
一年後、地球上に人間は一人もいなかった。
完
「全自動ゴミ処理機」
名前は平凡だが機能は凄まじい。世の中のゴミを一瞬で選別し、異次元の空間に転送することができるのだ。
しかも、量的な制限はない。際限なく瞬時にゴミは転送される。
かくして世界からゴミ問題は消滅した。
ある家庭。
ここではいつものように夫婦喧嘩が勃発していた。
「だいたい、お前はなんで俺の嫌いなシイタケを毎日毎日食卓に出すんだ!」
夫が妻に箸を投げつけた。
「あいた。やったわね。あんたの健康のために出してんのに、あんまりよ」
妻が夫に湯飲みをぶつけた。
「やりやがったな。 ──嘘つけ。ただの嫌がらせじゃないか。このブス!」
血だらけの夫が急須を投げ返した。急須はかわされたが、お茶が大量に妻に降りかかる。
「アチッ! なんてことするのよ! 殺す気? そっちがその気なからこっちにも考えがあるわよ!」
やけどを負った妻が、頑丈なダイニングチェアを頭上に高々と振りかざした。
「やる気か! じゃあ、俺もやってやる。くたばりやがれ!」
激昂した夫が、火事場の馬鹿力でダイニングテーブルを持ち上げる。
「あんたなんか……」
「お前なんか……」
両者がそれぞれの得物を相手に向かって同時に投げつけた。
──こう叫びながら。
「人間のクズよっ!」
「人間のクズだっ!」
その瞬間、二人の姿はこの世から消え失せた。
一年後、地球上に人間は一人もいなかった。
完
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