その86 疑惑

江戸時代、農閑期の庶民の最大の楽しみと言えば、やはり「お伊勢参り」であろう。
日本においての観光旅行と言われるのの走りである。当時の伊勢神宮周辺は(当たり前ではあるが)宿泊施設も完備されてなく、伊勢の人々は夫婦二人で一枚の布団で寝て、残りの一枚を旅人に貸していたと言う。
つまり無償の宿泊施設どころか、自分達の生活を放り投げての歓待。同じお伊勢さんを信仰する仲間として、旅人を迎え入れていたそうだ。それを伊勢の人々は「施行(せぎょう)」と言った。
そんなお伊勢参りの方々をもてなす心からか、ある日五十鈴川のほとりで一軒の餅屋が創業された。時、あたかも宝永四(1707)年。今
年で三百年の老舗「赤福」である。
観光名所の弱点として「名物に美味いもの無し」と言われる中でも「赤福」さんは真面目に真面目にその商売を続けてこられ
た。その意味では今回の不祥事は非常に残念であり、又早期の信頼回復と営業の再開を深く願う次第である。
ここで、私の考えを正直に述べさせていただきたいと思います。今回の賞味期限切れの件に関して「赤福」の濱田社長は「もったいなかった」との弁を述べられた。
私が愛読している産経新聞の社説でも「もったいないと思う心は大切だが、だからと言って客をあざむいてよい訳では無い」と断罪しておられた。それはそうである。
又、耳にするのは「信じていたのに裏切られた気分だ」と。それもそうである。しかしながら、現在の外食産業において信じられる食べ物は存在するのであろうか?
私が高校生の頃、色々な飲食店でアルバイトをしていた。舞台の裏側では不正のオンパレードだ。
食べ残しのキャベツの千切りは洗って再利用する。セットの餃子の
食べ残しは一度フライパンにのせて禊(みそぎ)をすませて再利用。ハンバーガーのパテも誤って床に落としても、やはりフライパンで禊をすませて再利用。煮魚の皮の破れた部分は、はじかみでカムフラージュ。
かと思えばテレビ局のお抱え食品メーカーは着色と保存料による嘘で固めたクッキングだ。
現在の我が国において「赤福」さんを断罪出来る自信のある人なんて、本当にいるのだろうかと考えてしまう。
思えば、最近営業再開された「白い恋人」さんや「加ト吉」さん。賛否はあるが「雪印」さんや、今回の「赤福」さんにしろ、すべて食品添加物を拒否、もしくは最低限に抑えているメーカーばかりではないか!
ここまでリークが露骨だと、裏で巨悪が暗躍していると感じる方が自然だと思うが如何か。
投稿者: Nao
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