梢の骨壷

ある地方都市にある街路樹あり

瑞木扶桑楠木の梢

歯のような葉でくるまれた産褥の骨壷

歩道を睥睨している

歩行者を懐かしい白血球や赤血球と見なす


ソフトクリーム舐め舐めぺとぺちょの青い女

鼻拡げ鼻糞を穿り背広にこすり付ける赤い会社員

八重歯に挟まったゲソを楊枝でほぜる蛸頭の白い重役

シーズ犬を乳母車に乗せてこめかみに黒い皺寄せる九十九髪のおばば


秋も深まり落葉すれば骨壷の巣も消えて

遠くの甍を心地よく眺めつつ骨壷は落ちる

割れてまた死ぬのか


さんばらさんばら じゃっこうじゃっかく


靈の靈なる骨壷の漣

流血淋漓の白い粉


風に吹かれ火に焼かれ水に流れ土に埋もれゆくものよ

それを梢より睥睨しているもう一つの骨壷あり


この不死の骨壷を産んだのは誰なのだ



投稿者: 祝鶏翁


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コメント 1

There are no comments yet.
Anthony
2007/09/29 (Sat) 11:57

こんなコメントがありました!

投稿者:赤城忠次 2006/9/1 14:49

>シーズ犬を乳母車に乗せてこめかみに黒い皺寄せる九十九髪のおばば

震えが止まらないフレーズです。怖い...




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