第十六幕 レミーのおいしいレストラン

思想は生命力を持っている 映画「レミーのおいしいレストラン」

 このアニメでの、なんとも奇妙な存在。それがゴースト・グストーです。

 ゴーストと言っても幽霊ではありません。

 グストーは、もう亡くなってはいますが、当人は、いくども、ネズミのレミーに、自分は、レミーの空想の産物である、と告げるのです。
 
 レミーの空想の産物とは、レミーの妄想、幻覚、幻影といった類なのでしょうか。

 ゴースト・クストーは、レミーが、気落ちしたり、迷ったり、行き詰まった時、的確なアドバイスや行動のヒントをレミーに与えます。

 ゴースト・クストーに暖かく励まされて、レミーはたぐいまれなる料理人としての天才さを発揮する、というのがこのアニメのお話です。

 本人が見る妄想、幻覚、幻影のようなたぐいのものとしては、怪しげさはまったくありません。

 ゴースト・クストーは、生前のクストーが書いた著書、『Anyone CAN COOK!』(誰でも名シェフ)から現れます。
 
 ゴースト・クストーは確かにレミーの空想の産物なのでしょうが、主にいるのはその本の中にです。

 フランスの片田舎に住んでいたレミーは、天才的な味覚と嗅覚の持ち主でした。

 いつか一流のシェフになることを夢見ていたレミー、彼の愛読書が、『誰でも名シェフ』です。

 レミーが、新米リングイニの過ちによって、味が台無しになってしまったスープを、奇跡的に評判となる名品に作り変えることが出来たのは、むろん、レミーが『誰でも名シェフ』を熟読してたからでしょう。

 その熟読さは、レストラン・グストーの評判を聞いて、フランス料理界でもっとも権威の辛口料理評論家・アントン・イーゴが、料理の出来を試しにやってきた時、注文を受けたおまかせ、おすすめの、一番得意な料理に、即座にすばやく、ラタトゥーユ、のレシピを皆に示したことでも窺いしれます。

 本の精のようでありながら、実は、レミーの空想の産物だというゴースト・クストーは、だから、クストーが書き表した本の思想が、書物を熟読したレミーの頭の中で具現化した、体現化したグストーの思想の姿というべきなのでしょう。

 挑戦的にレストラン・グストーに味見に来たイーゴは、ラタトゥーユを食べ、ラタトゥーユを作ったシェフに会って、すべてを知った上で、料理の批評を翌日の新聞に書きます。

 批評は、イーゴが、ようやく十全に理解することとなる、グストーの「誰にでも料理はできる」という思想にコメントするのです。

 一流のシェフになりたいと願ったネズミのレミーが出会えたゴースト・クストー。
 勇気と励ましを与えてくれるゴースト・クストー。

 妄想でも、幻覚でも、幻影でもない、 そんなゴーストにあなたも出会えそうな気がする「レミーのおいしいレストラン」、名品です。



投稿者: 今井 政幸


「レミーのおいしいレストラン」公式サイト


ゲーム・ソフトやグッズも発売中




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3 Comments

縞猫

今井政幸様、いつも楽しく拝見しております。

映画「レミーのおいしいレストラン」 ちょっと興味が湧きました。
面白そうな映画ですね。

  • 2007/08/03 (Fri) 21:13
今井政幸

ねずみ好きな人でないと

体質的に受け付けないシーンもありますが、悪くない作品です。

  • 2007/08/04 (Sat) 11:47
赤城 忠治

完全な子供向けという感じじゃないので、見にいこうかな。

  • 2007/08/04 (Sat) 15:13