第六十幕 告発のとき
アメリカの良心 映画 『告発のとき』

実話に基づいた物語です。
ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、軍隊から、息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が失踪したとの報が届きます。
ハンクは、引退はしたものの、かつては軍警察に従事し、マイクの兄も戦死した、軍人一家でのマイクの失踪事件でした。
マイクの部隊はイラク戦争に従軍していましたが、すでに無事みな帰還していました。
マイクの失踪は、平和なアメリカ内で起こりました。
ひとり、軍に向かったハンクは、マイクの宿舎を見せてもらいますが、別段、失踪の手がかりらしきものはなにもありません。
が、ハンクは、かつての軍警察での仕事の要領から、マイクの携帯電話を見つけ、持ち出し禁止ながらも、うまく隠し持って帰ります。
携帯には、ムービー・データが残されていました。しかし、データの破損がひどく、内容はまったく判別できません。
軍での捜査がいっこうに進展しないことから、ハンクは警察に失踪届を出します。
が、警察は、軍内部での失踪事件は管轄外として、担当の女刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)はハンクをまったくとりあいません。
それでなくとも、エミリーは、署長との仲により刑事に出世出来たと同僚から疑われ、なにかと、仲間たちから無理難題な仕事を押しつけられ、ハンクを受け付ける前ででも、夫の異常な動物いじめを取り締まって欲しいと長々訴える女性に、根気よく、動物虐待では警察は捜査に乗り出せないと一生懸命説明したあげくに、妻から、悪態をつかれたばかりだったからでした。
そんなエミリーは、シングルマザーで、彼女にはデヴィッドという男の子がいました。
ベッドでデヴィッドを寝かしつけたとき、エミリーはふと、ハンクが思う子への想いを感じ取ります。エミリーはハンクから、マイクのクレジットカードの使用明細の調査協力を求められていました。
マイクの焼死体が発見されたことから、事態は一変します。
マイクの死体は、バラバラに切り刻まれ、焼かれ、発見が遅れたことから、すでに肉片は野犬らに食いちぎられた状態でした。
しかも、発見場所が、軍管轄の土地だったことから、それを知った地元の警察はそうそうに引き上げ、なんとか現場を見たいとするハンクがエミリーを伴って現場を検証したとき、せっかくの現場に残された手がかりは、軍の捜査関係者らによって、さんざんに踏み荒らされ、ほとんどなにも残っていません。
しかし、ハンクは、殺人は、まず、警察管轄の、路上で行われ、死体が、軍管轄の地まで引きずり運ばれ、そこで、バラバラにされ、焼かれたことを見抜きます。
警察管轄区域内での犯行。
エミリーは、ハンクと組み、互いに協力し合って不可解な焼死事件の謎を突き止めていきます。
そして、そこで判明した、事件の全貌は、・・・・。
PTSD。
戦場での体験が、マイクらを狂わせました。
この映画は、戦場での異様さを教える映画ではありますが、そんな戦場に息子たちを追いやり、戦場が耐えきれないマイクの苦悩を理解せず、ついには息子を死に至らしめたハンク自身にも責任を問う映画です。
ハンクがエミリーの息子のデヴィッドを寝かすため、ダビデ王の話をします。
エラの谷で、イスラエル軍は、ペリシテ人と対峙しました。
ペリシテ人側には、巨人ゴリアテがいて、イスラエル軍を挑発しますが、巨人ゴリアテを怖れたイスラエル軍は、誰一人、ゴリアテに挑もうとしません。
そんな中で、羊飼いの少年ダビデが、石を持ち、ゴリアテに挑みます。
ダビデが投石機で放った石は、ゴリアテの額に当たり、ゴリアテを倒します。
王は、どうして、子供に過ぎないダビデを、巨人ゴリアテと戦わせたのか。
素朴なデヴィッドの質問でした。
デヴィッドの名は、ダビデ王から由来する名でもあり、映画「告発のとき」の原題IN THE VALLEY OF ELAH(エラの谷で)は、ダビデがゴリアテと戦った谷の名からとられています。
誰が、子供達を戦場に送り込んでいるのか。
二人の息子をも軍隊で失ったハンクの妻ジョーン(スーザン・サランドン)は、静かに、黙って、しかし屈することなく、涙します。
ハンクがラストに掲げる、国家の危機を意味する、逆さの国旗。
アメリカが犯した罪を認めて、許しを乞うかのような映画「告発のとき」は、最後の最後に残されたアメリカの良心ともいえるでしょうか。
投稿者: 今井 政幸
→ 『告発のとき』 公式サイト
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実話に基づいた物語です。
ハンク(トミー・リー・ジョーンズ)のもとに、軍隊から、息子のマイク(ジョナサン・タッカー)が失踪したとの報が届きます。
ハンクは、引退はしたものの、かつては軍警察に従事し、マイクの兄も戦死した、軍人一家でのマイクの失踪事件でした。
マイクの部隊はイラク戦争に従軍していましたが、すでに無事みな帰還していました。
マイクの失踪は、平和なアメリカ内で起こりました。
ひとり、軍に向かったハンクは、マイクの宿舎を見せてもらいますが、別段、失踪の手がかりらしきものはなにもありません。
が、ハンクは、かつての軍警察での仕事の要領から、マイクの携帯電話を見つけ、持ち出し禁止ながらも、うまく隠し持って帰ります。
携帯には、ムービー・データが残されていました。しかし、データの破損がひどく、内容はまったく判別できません。
軍での捜査がいっこうに進展しないことから、ハンクは警察に失踪届を出します。
が、警察は、軍内部での失踪事件は管轄外として、担当の女刑事エミリー(シャーリーズ・セロン)はハンクをまったくとりあいません。
それでなくとも、エミリーは、署長との仲により刑事に出世出来たと同僚から疑われ、なにかと、仲間たちから無理難題な仕事を押しつけられ、ハンクを受け付ける前ででも、夫の異常な動物いじめを取り締まって欲しいと長々訴える女性に、根気よく、動物虐待では警察は捜査に乗り出せないと一生懸命説明したあげくに、妻から、悪態をつかれたばかりだったからでした。
そんなエミリーは、シングルマザーで、彼女にはデヴィッドという男の子がいました。
ベッドでデヴィッドを寝かしつけたとき、エミリーはふと、ハンクが思う子への想いを感じ取ります。エミリーはハンクから、マイクのクレジットカードの使用明細の調査協力を求められていました。
マイクの焼死体が発見されたことから、事態は一変します。
マイクの死体は、バラバラに切り刻まれ、焼かれ、発見が遅れたことから、すでに肉片は野犬らに食いちぎられた状態でした。
しかも、発見場所が、軍管轄の土地だったことから、それを知った地元の警察はそうそうに引き上げ、なんとか現場を見たいとするハンクがエミリーを伴って現場を検証したとき、せっかくの現場に残された手がかりは、軍の捜査関係者らによって、さんざんに踏み荒らされ、ほとんどなにも残っていません。
しかし、ハンクは、殺人は、まず、警察管轄の、路上で行われ、死体が、軍管轄の地まで引きずり運ばれ、そこで、バラバラにされ、焼かれたことを見抜きます。
警察管轄区域内での犯行。
エミリーは、ハンクと組み、互いに協力し合って不可解な焼死事件の謎を突き止めていきます。
そして、そこで判明した、事件の全貌は、・・・・。
PTSD。
戦場での体験が、マイクらを狂わせました。
この映画は、戦場での異様さを教える映画ではありますが、そんな戦場に息子たちを追いやり、戦場が耐えきれないマイクの苦悩を理解せず、ついには息子を死に至らしめたハンク自身にも責任を問う映画です。
ハンクがエミリーの息子のデヴィッドを寝かすため、ダビデ王の話をします。
エラの谷で、イスラエル軍は、ペリシテ人と対峙しました。
ペリシテ人側には、巨人ゴリアテがいて、イスラエル軍を挑発しますが、巨人ゴリアテを怖れたイスラエル軍は、誰一人、ゴリアテに挑もうとしません。
そんな中で、羊飼いの少年ダビデが、石を持ち、ゴリアテに挑みます。
ダビデが投石機で放った石は、ゴリアテの額に当たり、ゴリアテを倒します。
王は、どうして、子供に過ぎないダビデを、巨人ゴリアテと戦わせたのか。
素朴なデヴィッドの質問でした。
デヴィッドの名は、ダビデ王から由来する名でもあり、映画「告発のとき」の原題IN THE VALLEY OF ELAH(エラの谷で)は、ダビデがゴリアテと戦った谷の名からとられています。
誰が、子供達を戦場に送り込んでいるのか。
二人の息子をも軍隊で失ったハンクの妻ジョーン(スーザン・サランドン)は、静かに、黙って、しかし屈することなく、涙します。
ハンクがラストに掲げる、国家の危機を意味する、逆さの国旗。
アメリカが犯した罪を認めて、許しを乞うかのような映画「告発のとき」は、最後の最後に残されたアメリカの良心ともいえるでしょうか。
投稿者: 今井 政幸
→ 『告発のとき』 公式サイト
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