第15回 エッチなパンツすら履かぬ少女たち―ヘンリー・ダーガーと非現実の王国
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ヘンリー・ダーガーの絵の一部
ヘンリー・ダーガー
20世紀アメリカの、最も重要な美術作家のひとりとされる。
何年か昔、メルヘンチックながら、多大なインパクトのあるこの画家の絵を見た時、たった一度で魅せられてしまった。
1年前。ワシは 桐野 夏生 の小説が大好きなのだが、『リアルワールド』のハードカバーを手にした時、あっと思った。表紙の絵はダーガーによるものだったからだ。
そして2008年、春。
こ の謎に満ちた作家の生涯を辿った映画が、ついに日本でも公開となった。
今年の最初、ぴあで告知を見てから、絶対に見たいと思っていたのだが、ついに巡り会うことができた。
ダーガー自身の写真は、知られているだけで3点しかない。
「気難しい人」「孤独な人」等と証言されたダーガーは、早くに母が世を去り、妹も里子に出され、優しい父親と暮らしていたが、ダーガーが8歳の時に、父親が体を壊し、ダーガーは施設へ預けられる。
その父親も、ダーガーが15歳の時に逝去。
そして、施設での生活を嫌ったダーガーは、脱走に成功し、なんと260キロを歩いて故郷のシカゴに帰る。
そして、病院の清掃人の仕事を見つけるのだが、その時から、ダーガーは膨大な量の物語と挿絵を、生涯にわたり書き続ける。
というのがダーガーの一生の大筋なのだが、彼には生涯を通じて、たったひとりしか友人がいなかった(!)。
そして、昼間は病院の清掃人、夜は睡眠時間を削って創作活動に没頭する日々を続けていた。
彼が少女にペニスを描いたのは、女性と付き合ったことがなかったからかもしれないし、少女に多大な興味があったからかもしれない。そして、きっとその両方であろう。
人と打ち解けるのが苦手で、友人もひとりしかいないダーガーに、彼女がいたとは想像がつかない。
彼の想像力が溢れんばかりの絵を見ると、昼の彼は、きっと周囲から全く注目されない、取るに足らない人物に見えたに違いないと思う。
また、彼自身も、周囲と打ち解けようとはあまり思っていなかったかもしれない。
彼が築いた物語と挿絵―非現実の王国こそが、彼が生きる世界だったのだ。
彼の絵は、彼が亡くなる数ヶ月前に、部屋を整理していた家主夫妻によって発見された。
映画を見た記憶だと、「素晴らしい絵ね」と言った夫妻に対し、「もう遅いんだよ」と言ったダーガー。
現実が孤独でも、人と交われなくても、孤独が養分となり、想像力がきれいな花を咲かせる。
それを他人に認めて欲しかったのだろうか?
しかし、そうでなくとも、ダーガーは描き続けた。
孤独でも、冴えなくても、人に認められなくてもいいんじゃない?それがあなた自身の生き方なら。
ダーガーから学ぶことは、いっぱい、ある。
「非現実の王国で ヘンリー・ダーガーの謎」
名古屋シネマテーク 052‐733‐3959
夜8時30分~9時52分のレイトショー
当日 1,700円
16日(金)まで
投稿者: やさい
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