別館 第三幕 映画 『クロサギ』の評判が悪いにゃ

 たすかに、クロサギのシロサギを騙す痛快さを求めて映画館に行った観客にとってはブルータスごっこ、シーザーごっこは、引くもんな。

 わたすも引いたひとりなのだが。

 知人の分析によると、映画「クロサギ」は、文学なのねん。 人がどう生きるべきかをテーマとした作品。

 若造のまんだ人生の何かをも知らない山下智久が、百戦錬磨の山崎努、竹中直人に挑む物語。

 人生には、裏切りと、裏切りによって向かえる死がある。 人はなぜ生きてきて、どう死んでいくか。

 シロサギの竹中直人は、さんざん、人を騙したあげく稼いだ大金をカリブで豪遊するために使う。

 大金は、豪遊のために使うべきものなのか?

 なんとみみっちい、しみったれたことなのやら。

 そのシロサギを決して許さないクロサギ山下智久が竹中直人を欺しにかかる。

 他人を欺くシロサギは欺されて当然という思想だ。

 すかす、シロサギとクロサギとの欺しあいは、一歩間違えたらクロサギの命取りとなる真剣勝負だ。

 だから、裏切りのブルータスと、裏切られるシーザーだ。

 裏切られたシーザーに待ち受けてるのは、死。 シロサギを落とせないクロサギには死が待ちかまえている。

 素人芝居の舞台セットに設えられた棺桶の中に横たわって、山崎努は、待ちかまえている「死」を山下に教える。

 山崎がセットの棺桶をネタに、棺桶に横たわったり、出たりしてるのは、死と生を暗喩する象徴のシーン。

 山崎はむろんしたたかさを十分に持ちながらも、生と死を遊んでいる。

 山下の失敗の前には死が待ちかまえているのだが、詐欺師シロサギをどうしても許せないクロサギは果敢に竹中を追い落としにかかる。

 山下はせいいっぱい、クロサギ家業に専念することでしか、人生を生きていけない。

 山下がせいいっぱい力の及ぶ範囲で生きて行くことは、豪遊三昧にあこがれるシロサギの人生を否定することだ。少なくとも。

 人がその人生をどうせいいっぱい生きていくかの生き方はひとそれぞれ違うだろ。

 クロサギ山下が選んだ人生は、シロサギ竹中を追い落とすことだったということ。

 むろん、山下が失敗したら、そこに待ちかまえているのは、ブルータスに裏切られたシーザーが入った棺桶だ。

 生と死との狭間に立たされたクロサギの生き様を、文学的に、暗示した映画なのだが、ま、山下に魅力がもうひとつ足らなかったかね。



投稿者: 今井 政幸


映画 『クロサギ』 公式サイト

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