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幻三郎旅日記 第一話 「風の中の剣鬼」 その4 (小説)
風が生暖かい。 そこは、湖というには余りにも濁り過ぎていた。焦げ茶色の水面には、細かい水草が無数に浮かんでいる。大鯰でも住んでいそうな沼だ。 周囲を山に囲まれた沼辺は、結構広い草地になっていて、沼全体を容易に周回できる。 弥陀ヶ原幻三郎の対面の位置に、古ぼけた小さな祠があった。 「あれかな」 幻三郎が呟く。三間四方ほどの木造の祠だった。外からは何を祀っているのかわからない。 沼に面して申し訳程度...
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幻三郎旅日記 第一話 「風の中の剣鬼」 その3 (小説)
弥陀ヶ原幻三郎が衛士の住む村に着いたのは、ちょうど日の出の頃である。 表面的には、確かにただの山村だった。 散在する茅葺き屋根の家々、山の南斜面に開かれた棚田や段々畑。人目を引くようなものは何もない。 何人かの女達が小川で洗濯をしたり、米を研いだりしていた。皆、粗末な麻の衣服を身に纏い、互いに一言も交わすことなく、無表情で己の作業に励んでいる。 男の姿は一人も見えない。幻三郎は女達の方へ近づい...
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幻三郎旅日記 第一話 「風の中の剣鬼」 その2 (小説)
空気が湿っぽい。深い森の中を走る山道だった。 濡れた大量の落ち葉が道をすっかり覆い隠している。雨風の直後のようだ。道の側を流れているとおぼしき水の音もバチバチと勇ましい。 ここは安芸の国。広島城下に程近い山中である。そんなに辺鄙な場所ではなかった。道も人馬の行き交いに不都合がない程度に、そこそこの整備はされている。 弥陀ヶ原幻三郎は霧島十蔵から書状を受け取って以来、寝る暇も惜しんで歩いてきた。丸...
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幻三郎旅日記 第一話 「風の中の剣鬼」 その1 (小説)
遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。 何か書かねばと思いつつも冴えたギャグが思いつかずにここまで来てしまいました。 そこで苦し紛れに僕が大学時代に書いた剣豪小説を引っ張り出してみました。ギャグもダジャレも一切なし。出てくるのはむさ苦しい男のみ。 さらに仏教哲学にハマっていた頃の話なので、理屈っぽくて辛気臭いことこの上ありません。しかも恐ろしく殺伐としていますし。 おもしろおかしい...
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謹賀新年 2017 &
新年明けましておめでとうございます! 昨年の新年のご挨拶で 「体脂肪率31%を25%以下にしたい!」 と宣言しましたが、、、 その結果は、26.6%なり (笑) 夏場の一時期は17.8%まで絞り込んだ身体も、カラオケBARでバイトし始めて毎晩のように飲酒し続けるという生活を経て再び脂肪という名の衣服を着込んでしまいました。 しっかし、年末年始に暴飲暴食を重ねても、昨年よりも5%減。 目標には達しなかったが...